フィラリア症予防
About
フィラリアについて

フィラリア症は、感染すると様々な症状が出たり最悪の場合死に至る病気ですが、しっかりと予防(駆虫)すれば防げる病気です。
フィラリアとは犬糸状虫ともいい、蚊の媒介で主に犬から犬へと感染する寄生虫ですが、犬以外にも猫やフェレットにも感染します。
フィラリア症の感染サイクルの仕組みをご説明します。
症状.01
フィラリア症になっている犬を蚊が吸血
症状.02
蚊の体内に血液と一緒にフィラリア子虫(ミクロフィラリア)入り込み、犬への感染能力を持った感染幼虫になる。
症状.03
感染幼虫が体内にいる蚊が、他の犬を吸血すると、その犬の体内にミクロフィラリアが入り込みます。この時はまだ侵入しただけなので、犬は具合が悪くなったりしません。
症状.04
感染幼虫は、皮膚の下や筋肉内で成長し、最終的に血管を通って心臓や肺の血管に移動します。成虫になったフィラリアがオスとメスが体内にいると、新たなミクロフィラリアが生まれます。このミクロフィラリアがまた蚊に吸血されて、他の犬に広がっていく仕組みです。
フィラリアが肺静脈や心臓に寄生することで、血液を体中に送り出す心臓や肺の働きが悪くなるため、『乾いた咳』『運動を嫌がる』『元気や食欲がない』などの症状がでてくるようになり、さらに『お腹に水がたまる(腹水)』『喀血』『赤い尿(血色素尿)』『突然倒れる』などの重い症状が出てきます。
そして、心臓や肺以外にも肝臓、腎臓など色々な臓器にも異常がでてしまい、最終的に死亡することもあります。
Prevention
フィラリアを予防するには
お住いの地域や生活スタイルによっても変わりますが、当院では基本的に5月~12月まで月1回のフィラリア予防をお勧めしております。
蚊は家の中にも侵入してきますので、室内でのみ生活している犬も予防をお勧めします。


Period
フィラリア予防期間について
フィラリア予防薬は、1ヶ月ずっと効果が続く薬ではありません。飲んだ時にだけ効く駆虫薬です。
万が一、ミクロフィラリアが体内に入ってしまった際に、肺や心臓に移動する前の皮膚や筋肉内にいる間に殺すための薬です。
そのため、以下の開始時期と終了時期が大切です。
蚊が発生するようになってから1ヶ月後の5月頃からフィラリア薬を開始する。
蚊がいなくなってから1ヶ月後の12月頃が最後になるようにフィラリア薬を使用する。
Reason
毎年、フィラリア検査をしてからフィラリア予防薬を始める理由
『毎年しっかりフィラリア予防をしているから、検査しなくても大丈夫』とおっしゃる方がおりますが、以下のような理由でフィラリア症になってしまっていることがあります。
- きちんとお薬を飲めて(塗布できて)いなかった(こっそり吐き出していたなど)
- 予防期間が必要期間より短い
- 飲み忘れた時がある
- 体調が悪く、うまく薬が吸収できていなかった
上記のような理由で、万が一成虫のフィラリアが肺静脈や心臓に寄生している状態でフィラリア薬を使用すると、死んだフィラリアが血管につまって肺動脈塞栓症などで死亡してしまう危険性があるため、毎年フィラリア予防する前にフィラリア検査をお願いしています。
Heartworm Disease in Cats
猫のフィラリア症(HARD:犬系条虫随伴呼吸器疾患)
以前は、猫はフィラリア症にほとんど感染しないと思われていましたが、最近の研究では10頭に1匹がフィラリア幼虫に感染していたという報告があります。
今まで猫もフィラリアに感染することをあまり知られていなかった理由としては、無症状や突然死してしまうことが多いので発見されにくいという点がありました。また、感染しているフィラリアの数が少数であったりオスかメスしか体内にいないなどのために、犬によく用いている抗原検査では検出が難しいという問題があります。猫のフィラリア症の症状は、咳や呼吸困難などの『HARD』と呼ばれる慢性の呼吸症状や、嘔吐、食職不振、痙攣などの神経症状、突然死などがあります。
この『HARD』は、アレルギーや喘息と症状が似ており診断が難しく、治療法も確立されておりません。
猫のフィラリア症は診断や治療が難しいため、犬と同様に予防が一番効果的です。犬と同様の5月~12月までの予防をお勧めします。猫の場合は、1ヶ月に1回、首の後ろの皮膚に塗布するだけで、ノミ・フィラリア・ミミヒゼンダニ・回虫を駆虫してくれるお薬がありますので、ご興味がある方は、当院にご相談ください。

